各種ワックスの基本テクニック
ハードワックス
 材料編で述べましたように彫刻に適したワックスです。立方体状のワックスから作る場合、正面図と側面図等ケガキで輪郭をなぞっておきます。最低限必要な容量まで大ヤスリで削り落とします。さらに細かな形をケガキで印し、小ヤスリやスパチュラーで不必要な部分を削ります。単純にはこの繰り返しで、より製品に近づいていきます。裏抜き作業はワックス用カッター等で削り落とします。最終仕上げはペーパーヤスリでも十分と思いますが、さらに綺麗に仕上げる場合は布等で擦ったり、形によっては火で表面を炙ったりすることもあります。地金になった時に磨き作業が困難な部分についてはできるだけ綺麗に仕上げておきます。
 細かい作業はほとんどの場合スパチュラーを使いこなせば可能ですが、専用工具をアレンジして作ったりする事も大事です。極端な話、凹の溝を仕上げるために金ざし(定規)の角を使ったりすることもあります。(寸法次第ですが)
 彫刻の中でもレリーフによって人面の表情を表すのは難しい作業です。厚みが薄いほど困難になります。基本的には一番高い所を残し、彫り下げていきますが表情そのものはスパチュラーの一掻きで犬が熊になったり猫になったりします。最終的な形が何であれ、ハードワックスの基本は表情を彫刻する事です。
ソフトワックス
 シートワックスですが、気温に影響されますので温度を常に意識する必要があります。冬場などはすぐ割れてしまいますので、ワックス又は工具を温めての作業になります。逆に気温が高く粘度が作業を妨げる場合はタルカンパウダー(ベビーパウダー)を筆等で薄く塗布する方法もあります。
 柔軟な性質を生かして、不定形な石枠(パーツ)を作ったりするのに好適です。逆に柔軟ゆえ、キャスティング後には変形していた、という事もあります。変形については大きい形ほど気をつけなければなりません。インジェクションワックスとの併用により形をしっかりさせたり、湯道のつけ方を工夫します。
 ハードワックスとは違い、自分が思うような形が作れない、あるいは意図しない方向になってしまうという事がありますが、遊び心が半分必要な素材と私は思います。 
蜜蝋の作り方
材料=ビーズワックス(イエローワックス、ミツロウ用と言えば解ります)
    松脂(同じく貴金属工具材料店で販売されています)
    シートワックスの不要な屑少々
    なべ(ワックス溶かし用)
    器(水を2/3くらい入れておきます。器の上にガーゼを張って固定しておきます。)

ビーズワックス対松脂は1対1でやってみてください。気温により、硬くしたければ松脂を多めに、逆は少なくという割合です。先に松脂をなべに入れて弱火で溶かします。沸騰しないよう、なべを火から少し遠ざけたりしながら全体がなじんで溶けるようにします。次にビーズワックスを入れます。最後にシートワックスを少々(私は5〜10%くらい)入れてさらに全体がなじんだら水を入れた器にガーゼ越しに流し込みます。水に浸かっていますが固まるまでやや時間がかかります。完全に熱が冷めてから、使う分量を割って手でこねます。柔らかくなったら作業してください。余計な事は言いません。私が思うに蜜蝋については100%遊び心が大事です。
インジェクションワックス
 基本として、ゴム型のずれの修正・バリ取り・サイズ直し・爪折れ直しを記載します。インジェクションワックスの修正は私の場合、色の違うインジェクションワックスで行なっております。色が違うほうが、何をどのように直したのかがわかりやすいからです。
 ゴム型パーティングラインの修正は、簡単な場合片方出て片方引っ込んでいる状態ですのでマイナス部分にワックスを盛った上で全体的に削り落とします。正反対場面も同様に作業し、原形により近づけます。
 バリ取りは細かいところはメスの刃先を使って取り去ります。ごく簡単な作業です。メレー穴のふさがれたところはドリル刃で開けなおします。逆に盛って埋めたりもします。
 リングのサイズ直しはサイズ棒に入れて、軽く熱したメスでまず切ります。縮める場合は地金のサイズ直しと同様、不要分を取り去ります。サイズ(鋳造の収縮率を考え、0.25〜0.5#大きめ)を合わせ、盛りながらなじませて付けます。裏・側面も、盛った上で整型し、ペーパーヤスリで仕上げます。広げる場合もやや大き目のサイズのところで作業します。開いたところのサイズ棒の上に直接ワックスを盛ります。サイズ棒から外して同様に仕上げます。
 爪の折れた先が手元にある場合は折れた断面を何かで濡らし、乗せます。熱したスパチュラーの先でまず一部分仮付けし、周りに盛ると同時に断面をなじませながら修復します。折れた爪がない場合は、爪そのものを根元から盛りワックスで作ります。鍾乳洞のつららを形成するような感じです。いずれにしても太めの爪は簡単ですが、0.3mmほどの細い爪の場合は神経を使います。
 ワックス型のアレンジについては多岐にわたりますので応用編以降で記載いたします。

                          
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